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2025年度「京うちわを作ろう」に行ってきました!

6月21日土曜日、妙心寺微妙殿にて、2025年度「京うちわを作ろう」が開催されました。夏の日差しが照り付ける晴天のもと、18組の参加者の皆さまにお越しいただきました。兄弟や親子での参加、お一人、お友達との参加が見られました。

臨済宗妙心寺派 大本山妙心寺は、46ものお寺がある日本最大の禅寺です。そんな大きな境内の普段はいることができない空間で、皆さん少し緊張している様子です。

 

伝統工芸品としての「都うちわ」

塩見団扇株式会社の方々に、講師としてお越しいただきました。「都うちわ」とも呼ばれる京うちわは、和紙、竹、木材を使用した伝統工芸品です。扇と柄(持ち手の部分)が、別々に作られる構造は「挿柄」と呼ばれ、都うちわの繊細な美しさを作りあげる一つの特徴です。職人の手によって、50本から100本の竹骨が放射線状に張り付けられています。今回皆さんが完成させたうちわは80本の細い竹骨が張り巡らされています。よくしなる多数の竹骨のおかげで、ゆっくり仰いでも効率的に風を送ることができますよ!

民芸品ではなく生活に寄り添う伝統工芸品として、伝統的でありながらも新しい時代に受容されていくよう、進化しています。これから訪れる厳しい夏のお供にしたいような、モダンでお洒落なデザインも作られています。

 

一日一度は静かに坐って…

臨済宗妙心寺派仙人布教師、竹中智厚(ちこう)師によるご法話を、皆さん静かに、穏やかに座って聴きました。「一日一度は静かに坐って身と呼吸と心を調えましょう…。」という生活信条を教わりました。

今回完成させるうちわの地紙にある「雨収山岳青」という禅語には、「雨が止めば山が青く見える」というような意味があります。悩み事ができて心に雨が降ることがあっても、落ち着いて乗り越えれば大丈夫だということを、お話しくださいました。このうちわを見るたびに思い出して、この言葉が心の支えになるといいですね。

 

制作過程

有難いご法話によって心が落ち着き、緊張がほどけたところで、オリジナルの京うちわを作っていきましょう!

まずは細骨が職人の手によってすでに張り巡らされているところに、地紙を貼っていきます。裏表の地紙が竹骨一本一本に密着するように、丁寧に押し付けていきます。地道な作業ですが、大切な工程です。続いて、扇型に切り取られた型にそって、地紙に線を描きます。

 

描いた線に沿ってハサミで切り取っていくのですが、それが結構力のいる作業です。けがをしないように気を付けながらも、力を込めて頑張りました!

柄をつける部分や縁は、お子さんの手でも貼れるように、シールになっています。繊細な作業なので、協力し合いながら、完成に近づいていきます。

柄をつける部分にシールを貼ったら…待ちに待った飾りつけです!金魚やお花など、心なしか涼しくなるような型紙を思い思いに飾り付けました。真剣な目つきで一つ一つ糊で貼ったら、世界に一つだけの京うちわの完成です!

 

ありがとうございました!

去年に続き二回目の参加をしてくださった方にお話を伺いました。去年作ったうちわを、暑さが厳しくなってきた今年の夏、また愛用されているようです。有難いご法話を聴き、普段は入れないような場所で体験できることがとても貴重で、心が安らぐとお話しされました。プラスチックでできたうちわよりも、愛着を持って大切に使うことができるそうです。この夏もこのうちわを見るたびに少し落ち着いた心で過ごすことができますね。

皆さんのオリジナル京うちわも是非、大切に扱ってください。

なんと、7月19日には「京扇子」を作る体験があります!是非チェックしてくださいね。皆さんとお会いできることを楽しみにしています。

 

記事作成:立命館大学・文学部・4回生

田代恵理