7月3日(日)10時から、妙心寺大方丈において、「京うちわを作ろう」(子ども対象事業)を開催しました(参加者31名)。
はじめに、京都歴史回廊協議会の清水則雄副会長から開会の挨拶があり、続いて今回の団扇面用に小倉宗俊妙心寺管長猊下にご揮毫いただいた禅語「薫風自南来」について、同寺専任布教師である池田織隆様が「禅の教えの中で大切なことは『精神を集中すること』です。何か一つのことに集中して取り組むことで、身も心も涼しくなります。『薫風自南来』とはそういう悟りの境地のことをいいます。本日、皆さんが京うちわ作りに集中して取り組み、完成した京うちわで扇ぐと、身も心も涼しくなることでしょう。(そういう境地を目指して)頑張ってください」と分かりやすくご解説くださり、その後、京うちわ作りとなりました。
作業に入る前に、講師役を担ってくださる塩見団扇株式会社代表取締役の秋田悦克様、同取締役の秋田美紀様、工房ののか デザイン・手描き友禅師の兵江美香様の紹介がありました。そして秋田悦克様から京うちわの歴史、特徴についてご説明いただき、作業となりました。参加した子どもたちは、禅語が記された地紙を団扇の型紙に合わせてハサミで切り取りました。そして京うちわの周囲を細い紙で貼って補強し、裏面には自由に切り絵を施しました。最後に、把手を講師の先生方に糊付けしてもらいました。
作業終了を待って、妙心寺法務部の川島宏明様に妙心寺の歴史について教えていただきました。お話の中で川島様は「妙心寺とは、臨済宗妙心寺派の大本山で、甲子園球場が8個も入る大きなお寺です。第95代天皇、花園法皇が、『報恩謝徳』の思いを持って開創されました。『恩に報い、徳に感謝する』という意味の言葉です。妙心寺とはその言葉を大切にしているお寺です」と述べられました。
最後に、清水副会長が、会場をご提供くださった妙心寺と、京うちわ作りをご指導くださった講師の先生方に謝辞を述べ、閉会となりました。
なお、当日京都では約12日ぶりの本降りの雨となりました。京うちわの作業中、大方丈の大屋根に降った雨が、「水のカーテン」のようになって大量にお庭に流れ落ちていましたが、子どもたちは作業に集中し、誰一人振り返ることはありませんでした。「薫風自南来」を立派に体現できていました。