7月28日月曜日、大本山妙心寺微妙殿にて、2025年度「灯ろう絵付けと坐禅体験」が開催されました。厳しい暑さの中にもかかわらず、約80人の子どもたちがご参加くださり、夏休みならではの貴重なひと時になりました。子供たちの中には、近くの小学校に通う子供たちがお友達や兄弟らと一緒に参加している姿が見られました。
妙心寺(みょうしんじ)は京都市にある臨済宗妙心寺派の大本山で、広大な境内には多くの塔頭(たっちゅう)と呼ばれるお寺があり、禅の修行と文化の中心地として知られています。歴史ある場所での体験の始まりを子供たちはどこか緊張しつつも、わくわくした表情で体験の始まりを待っている様子でした。
お盆
まず、妙心寺のお坊さんによるお盆の話について教えていただきました。お盆の由来には、目連尊者(もくれんそんじゃ)というお釈迦様の弟子の話があります。死んでしまったお母さんが地獄で苦しんでいるのを知った目連さんは、お釈迦様に相談し、多くの食事をふるまって供養するよう教えられました。そのおかげでお母さんは救われたという話が元になり、お盆にはご先祖の霊を供養する風習が生まれました。今も人々は感謝を込めてお墓参りや迎え火などを行っています。また、お盆に飾るきゅうりとナスは、早くあの世から帰ってくる馬と遅くあの世に帰る牛に見立てています。子供たちはお坊さんの話をしっかり聞いて、質問には力いっぱい手を挙げて元気に答えていました。
心を落ち着かせて座禅
灯ろう絵付けの前に保護者の方も一緒に坐禅体験を行いました。何と最初にお坊さんによる坐禅のお手本を見せていただきました。お手本の中で、警策(けいさく)という棒で肩をたたいている様子が少し痛そうに見えて子供たちの中には痛そうという声も聞こえてきました。実際、修行中のお坊さんには強く叩いているそうですが、今回は弱めに叩いてくれるそうです!
お坊さんからのお手本の後に約15分の坐禅を2回ほど行い、お子さんの中には足が痺れたり、落ち着かなかったりする様子もありましたが、みんな背筋を伸ばして綺麗に座っていました。また、警策(けいさく) で大人も子供も左肩右肩を2回ずつ叩いてもらっていて、お子さんの中には3回以上叩いてもらった子もいました。
自分だけの灯ろう絵付け
灯ろうは昔、お盆に帰ってくる人が灯ろうを見に来ると考えられたことが始まりで、妙心寺では、その灯ろうに子供たちが書いた絵や塗り絵を描きました。塗り絵の灯ろうはかわいいお地蔵さんの絵から天女の絵など様々な難易度の灯ろうがありました。どれも素敵で子供たちもどれにするか迷っていました。
塗り絵も子供たちの中には、全然違う色を使っていてどれも素敵でした。また、中には自分の好きなものを描いている子や自分のご先祖様を描いている子もいて、それぞれの「想い」がこもった灯ろうが出来上がっていきました。
みんなそれぞれ持参した色塗りの道具で自由に描いていてとても楽しそうでした。どの灯ろうもみんなのご先祖様が完成した灯ろうを見るために戻ってきそうな素敵な作品ばかりで、完成した子は自分の作品をお坊さんに見せに来てくれたりしました!
大方丈の廊下を全力で雑巾がけ
楽しい灯ろう絵付けの後は、子供たち全員で妙心寺の大方丈の廊下を雑巾がけしました。とても広い廊下をみんなで分担して頑張って雑巾がけしました。みんな雑巾で拭くスピードが速くてあっという間に全部の廊下を拭くことができました。普段から学校で掃除を頑張っている姿が目に浮かんできそうでした。
ありがとうございました
今回参加してくださったお子さんと保護者の方にお話を伺いました。このような体験は学校ではできないし、良い夏休みの体験になったそうです。坐禅を体験してみて、叩いてもらうことで肩の力が抜けそれと同時に心がすっきりするのを感じたそうです。灯ろう絵付けも子供たちが楽しそうに友達や兄弟らと描けて楽しかったとお話しされました。
今回作った灯ろうには8月9日から16日まで妙心寺で灯がともされます。子供たちの心がこもった灯ろうが皆さんのご先祖様に届くといいですね。
ぜひ頑張って作られた灯ろうを見に妙心寺を訪れてみてください。
記事作成・写真提供:立命館大学・文学部・2回生
養學希怜